ユング心理学

NHK 100分de名著でやっていた「河合隼雄著作集ユング心理学入門」、また、「コンプレックスと人間」を読みたいと思い、図書館から借りていましたが、夏休みの今日、ようやく読むことができました。

40歳の時に読んでおけば今のようにはならなかったかもしれません(もっとも読む時間も気持ちのゆとりもなかったが・・)。

河合隼雄先生は、京都大学を卒業後、高校教師のかたわら大学院で心理学を専攻、その後、アメリカ、スイスで本格的に心理学を学びました。帰国後はユング心理学の研究の第一人者としてご活躍され、200以上の書籍を出版されています。

【私が勉強になったこと】

「こころの構造」
・自我は意識の表面の上にあり、こころだけでなく体の一部も支配している。
・自我の支配の及ばない無意識には「個人的無意識」と「集団的無意識」がある。集団とは家族、文化、究極は人類共通の普遍的無意識。自己はこの集団的無意識のエリアにある。
・こころの問題を扱うにあたって、表層的な意識のみ取り上げても意味がない。自己を形成する無意識を探ることになる。眠っているときは意識と無意識の境界があいまいになる。
・したがって、夢を分析する。なぜこの夢を見たのかを追求するより、何のためにこの夢を見たのかを突き止める。
・自己は全く仮定の存在である。しかし、自分の人生を考えるときに自我のみを中心として考えるのではなく、それを超えた自己という全体性をそなえた存在があると仮定し、自己の声に耳を傾けることによって、より人生は豊かになる。ユングはこれを「自己実現」と呼んだ。
自己実現の道は、何らかの意味で自我の判断を超えているという意味で、不可解であったり、苦悩に満ちたものであったり、時には拒否したくなったりするほどのものである。ただ単純に自分の好きなことをするというのは、自我実現、利己実現でしかない。

「コンプレックス」
・無意識内に形成される。
・コンプレックスを持っていても人格の尊厳性が失われないと感じていれば、そのコンプレックスは感じない。しかし、金のないこと、社会的地位が低いこと、知能が低いこと・・・を認めつつ人格の尊厳性を失わないことは大変。
・他人のために尽くそうとする善行の陰に劣等感コンプレックスの裏返しが存在する。
・自らコンプレックスと対決して、自らの個性を生かそうとするときは、その人は(同じコンプレックスを共有している集団の)暖かい人間関係を切らねばならない。自己実現の道は孤独な道である。
フロイトはノイローゼがコンプレックスによって生じること、コンプレックスの存在を意識化することによって治療できることを明確に示した。
抑うつ状態は、心理的原因により気分が沈み罪悪感が強く何もできなくなる状態だが、この状態はコンプレックスが比較的自我の近くに存在し、それに対する抑圧はヒステリーの場合ほど強くはない。自我はこのコンプレックスとの対決を予感しているが、それに必要な自我の改変に対する恐れや抵抗も強い。そのため、なんとも行動しがたい状況に追い詰められている。
・ノイローゼになるかならないかは個人の自我とコンプレックスの相対的な力関係にある。その人の素質や環境によっていろいろ異なってくる。
・コンプレックスが自我に抑圧され、徐々に力を蓄えていく以前に、自我がコンプレックスと適切な接触を保ち、小爆発を伴うにしろ、その内容を自我に統合していく努力を続けてゆくならば、あまりにも極端な爆発を避け、完全な状態で成長が続けられると考えられる。このようなとき、自我はコンプレックスと望ましい関係にあるといえる。

「アニマ(女性像)とアムニス(男性像)」
・夫にアニムスの像を見出せなくなると、子供にそれを求める=教育ママ。実は、それに困惑している夫自身が妻の正しいアニムスの発展を止めている。
・40歳を過ぎてからの後半の人生には、傾き沈んでゆくことに人生の意義を見出さねばならない。地位や財産や名声を求めて外へ向かっていた人が、今までと異なる内的な世界に気づき始める。
・自分の心の中のアニマの存在に気づき、それと対決してゆこうとすることによって、ますます自分を豊かにし、統合性の高い人格へと発展してゆくことができる。
・しかしこれは、男性に弱さの開発を強いるものであり、真に困難なことである。この弱さの内的経験を通じてこそ、男性はほかのひととの真の関係を打ち立てることができる。
・強いばかりの男性は支配・命令はできても、他人と深い対等の交わりを結ぶことはできない。

 

最近見た夢を自己分析したら、出世競争から取り残された劣等感、と思われるイメージがほとんどでした。人格の尊厳とは無関係!と無意識になるのは難しいですね。今の職場は同じ境遇の人が多く「暖かい」環境です。漬かりこむと後々大変なことになりそうです。鬱病の私に妻がアニムスを見出せる訳もなく、今の状態はなるべくしてなったんですかね。アニマの発展か、間違えると、女に溺れるなど人生を破滅させる危険な行為とも書かれていました。