自閉症スペクトラム

自閉症スペクトラムの人に求められる2つのスキル。「自律スキル」:自己肯定感を持ち、自分にはこんなことができると自信を持って言えること。同時に、できないことはできないと判断し、自分の能力の限界を把握すること。「ソーシャルスキル」:ルールを守れること、ほかの人に相談できること。
自閉症スペクトラムの人たちは、その人の知的水準から期待される進路を想定すると、残念ながら不適応を生じる確率が高まります。その人の知的水準よりも1ランク下の知的水準の進路を想定すると、順調に社会参加できる場合が多いように思います。
・さらに二次的な問題を併発していると、知的水準から期待されるよりも2ランク以下の水準でもつらくなるときがあります。二次的な問題がある場合、就労を考えること自体が難しいことも多いのです。
・教育形態や出身校は、その後の人生を決定するものとは、必ずしも言えません。もっと大事なことは、ほかにあるかもしれない。だから、どこの学校を出るかということを形だけで考えるのではなくて、その人にとって適切な環境かどうか、その先の就労を踏まえて見通しが持てるような進路なのだろうかということを、日ごろからきちんと考えておく必要があるのです。
・自由競争がエスカレートすると、さまざまな格差が広がることは、よく指摘されます。格差が広がったとき、真っ先に被害を受けるのが、社会的マイノリティです。コミュニケーションや人のネットワークを重視する昨今の風潮の中で、対人関係の調整が苦手な自閉症スペクトラムの人たちは、不利な状況に置かれやすくなっています。

自閉症スペクトラム 本田秀夫より